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耐震基準を満たしていない
マンションストック状況

都内総世帯数とマンション戸数の推移

東京都内における平成25年現在におけるマンションストック数は約165万戸あり、同年には4.2万戸建築され、年々増加傾向にあります。
また東京都内の世帯数の約4分の1にあたる世帯がマンションに居住しており、マンションに関する問題はより身近なものと言えます。

 総世帯数(各年末)
 マンション着工累積戸数(各年末)

出典:東京都総務局、東京都都市整備局

耐震基準を満たしていないマンション戸数

一方、耐震基準を満たしていないマンションは全体の約22%にあたる43万戸あると言われており、地震に対する不安が広がっているなか、大きな社会問題になっています。

出典:総務省、東京都都市整備局

耐震基準の改正について


■旧々耐震基準
昭和46年改正前に建築された建物がこれに該当。
■旧耐震基準
昭和43年に発生した十勝沖地震にて多くの被害を受けたため、
昭和46年に改正。
昭和46年~昭和55年に建築された建物がこれに該当。
【概要】 震度5強程度(中地震)の地震には耐えうる設計となっているが、
大地震へは未対応
■新耐震基準
昭和53年に発生した宮城県沖地震の影響で昭和56年に改正。昭和56年以降からこれに該当。
【概要】 震度5強程度(中地震)の地震に対してマンションに損傷が殆ど見られない。また、震度6以上(大地震)の地震に対してマンションが倒壊しない事とされています。

※新耐震基準に該当するものは昭和56年以降に建築確認を受けた建築物が対象です。

旧耐震基準マンションの問題点

実態調査によると、旧耐震マンションの耐震診断実施状況は旧耐震マンションの全体の17%程度となっています。また未実施の内、約60%は耐震診断の検討もしていないという状況です。
検討段階にも入らない理由として
①診断費用の捻出が難しい
②診断に関する関心が希薄
③所有者の高齢化による関心の希薄
④賃貸運用しているために関心の希薄
⑤改修工事費用の捻出が難しい

上記のような理由があります。
巨大地震発生が切迫している中、耐震基準を満たしていないマンションについては緊急を要する課題となっています。
国は平成7年に建築物の耐震改修の促進に関する法律や平成14年にマンションの建替えの円滑化等に関する法律を制定しましたが思うように進んでいませんでした。
そこで、平成25年に建築物の耐震改修の促進に関する法律が改正され従来の決議要件を4分の3以上から2分の1以上と緩和し、平成26年にはマンションの建替え等の円滑化に関する法律が改正し決議要件や従来の建替えに加えて「マンション敷地売却制度」の規定が設けられました。
これにより、耐震基準を満たしていないマンションは「耐震改修」「建替え」「敷地売却」の3つの手法を選択することができます。   

出典:総務省、東京都都市整備局

平成 7年 7月 建築物の耐震改修の促進に関する法律 施行
POINT!耐震不足マンションと判断される基準をls値0.6以下と明確化された

平成14年 6月 マンションの建替えの円滑化等に関する法律 施行
POINT!マンション建替組合設立が出来るようになり円滑な建て替えができるようになった

平成25年11月 建築物の耐震改修の促進に関する法律 施行
POINT!決議要件を3/4から1/2に緩和され、合意形成が図りやすくなった

平成26年12月 マンションの建替え等の円滑化に関する法律 施行
POINT!建替えの他に敷地売却が追加され、新たな事業方式ができた

耐震を満たすための施策として3つの方法があります

【 耐震改修、 建替え、 敷地売却 】 手法比較

耐震不足マンションに対し、居住者の生活・生命の安全及び近隣住民に及ぼす影響を考慮し、
平成28年現在以下3通りの事業手法(制度)があります。

  • 耐震改修

  • 建替え

  • 敷地売却

耐震改修

※建築物の耐震改修の促進に関する法律 平成7年施行 平成25年改正

  • 事業
    手法
  • 1旧耐震マンション
  • 2耐震診断
  • 3区分所有者話合い
  • 4耐震設計
  • 5決議
  • 6耐震改修

区分所有者は耐震改修に必要なコスト等を様々な角度から検討します。耐震改修は既存建物の構造部分に補強を行う為、意匠性や機能性を十分に
考慮しないといけません。また、必要に応じて大規模修繕工事も同時施工で考えることができる為、効率的に工事を進められます。改修案がある程度
決まりましたら、実施設計に入り、工事に必要な図面などを作成します。図面を元に工事業者(数社)に見積もりを依頼し、その見積もりをもとに
区分所有者全員で耐震改修実施の普通決議に入り、1/2超の同意が得られれば可決され、耐震改修工事を行うこととなります。

建替え

※建築物の区分所有等に関する法律 マンションの建替えの円滑化等に関する法律 平成14年改正

  • 事業
    手法
  • 1旧耐震マンション
  • 2耐震診断
  • 3区分所有者話合い
  • 4建替え設計
  • 5決議
  • 6建替え

区分所有者は修繕費用や老朽化の度合いを把握し、建替えを検討します。理事会が主体となり、総会の中で検討に要する資金の拠出に関する事項を
決議(決議要件:1/2超)し、デベロッパー等の協力事業者の選定及びマンション建替え計画を作成していきます。(この時点でおおよその建替え
後のマンションで取得する住戸の階数・広さ・向きや位置等は決定します。)マンション建替え計画を作成後、建替えに関する特別決議を行い決議
要件:4/5以上の同意が得られれば可決されます。可決された場合には、法人格をもつ建替え組合を設立し、今後、この組合が施主として建替え事業
に関する手続き(建替え不参者への売り渡し請求や権利変換等)を進めていきます。

敷地売却制度

※マンション建替え等の円滑化に関する法律 平成26年12月に新しく施行された制度

  • 事業
    手法
  • 1旧耐震マンション
  • 2耐震診断
  • 3区分所有者話合い
  • 4決議
  • 5売却

    ※再入居も可能

区分所有者は、勉強会や集会により経済的比較等を総合的に判断し、敷地売却制度の検討をしていきます。検討の結果、敷地売却に理解を得られた
場合には、要除去マンションの認定の申請やデベロッパーなど(買受人)が買受認定の申請をしていきます。敷地売却に関する特別決議を行い、決議要件
4/5以上の賛成を得られれば可決され、法人格をもつ売却組合を設立し、今後、この組合が主体となり売却事業(売買契約・補償金の支払い・分配金取得計画申請
などの手続きを行います)を行っていきます。なお、デベロッパーなどがマンション等を再建した場合、再入居も可能となります。

耐震改修 建替え 敷地売却
耐震性の向上 耐震性が向上する 耐震性は大幅に向上する 耐震性は大幅に向上する
容積緩和特例 容積緩和を受けられない 建築プランにより容積緩和を受けられる 建築プランにより容積緩和を受けられる
合意形成の図りやすさ 比較的合意形成が図りやすい 合意形成が図りにくい(賃借人の同意必要) 合意形成が図りにくい(賃借人の同意不要)
事業終了までの期間 事業終了までの期間が短い 事業終了までの期間が長い 建替えに比べ事業終了までの期間が比較的短い
補助金・税制優遇など 各地方自治体により補助金制度がある 各地方自治体により補助金制度がある 税制優遇・融資優遇制度がある
事業にかかる費用 耐震設計・耐震工事に多額の費用がかかる 多額の建築資金を所有者が負担する場合がある 所有者の費用負担がない
美観・景観 工事内容により美観が損なわれる 新築の為、美観がよくなる 新築の為、美観がよくなる
居住者・借家権 工事内容により、一時的に退去する必要がある 借家権は再建築マンションに移行する 借家権は、消滅する
設備等の修繕 設備等の修繕工事が必要 新築の為、不要 新築の為、不要
修繕積立金の使途 修繕積立金などが不足の場合には所有者が負担 修繕積立金などの積立金は所有者に分配される 修繕積立金などの積立金は所有者に分配される

敷地売却制度とは

~敷地売却制度の成り立ち~

首都直下型地震等の大地震がいつ起きてもおかしくないと言われている中、耐震不足マンションの耐震改修や建替えによる耐震化については緊急を要する課題となっております。平成25年の耐震改修促進法の改正の次なる課題として、建替えの促進策が求められておりました。そこで平成26年に『マンション建替え等の円滑化に関する法律』が改正され、マンション敷地売却制度が創設されました。

敷地売却制度のメリット

1. 税制優遇

①特別控除(一定要件が必要)

マンション敷地売却制度において、耐震改修促進法に規定する、緊急輸送道路等の避難路沿道の建築物として耐震診断が義務付けられているマンションの場合は譲渡所得から1,500万円を控除する特例

譲渡価格 (収入金額)
  • 取得費用
  • 譲渡費用
  • 特別控除額
    1,500万円
  • 課税譲渡
    所得金額

②長期譲渡所得の軽減税率

譲渡した年の1月1日現在の所有期間が5年を超える場合、本来、所得税・住民税合わせて20%の税金がかかります。敷地売却の税制優遇では、所得税・住民税合わせて14%の課税に軽減されます。
※課税譲渡所得金額の内、2,000万円以下の部分について軽減税率を受けることができます。
※東日本大震災からの復興の為、平成25年1月1日から平成49年12月31日迄の間に生ずる所得税率に対し復興特別所得税率(0.21%)が加算されます。

2. 容積率緩和

要除去マンション(耐震性不足)として特定行政庁から認定されたマンションは容積率緩和を受けられます。

3. 借家権消滅

敷地売却制度ができる以前は、借家人の存在が建替えをさまたげる事も多くあり、円滑な建替えが出来ませんでした。敷地売却制度では、その制度上、 借家人の借家権を消滅させ明け渡せる事が出来ます。ただし借家権を消滅させるためには、補償金が必要となります。借家権を消滅させるための 借家人に対する補償金は原則、組合が負担します。

4. 住宅金融支援機構によるまちづくり融資 高齢者向け返済特例制度

マンション建替え・敷地売却などにより、再建築された住宅に高齢者(満60歳以上)が再入居する場合において、
住宅金融支援機構から融資を受けた場合には、毎月の返済は利息のみの支払いが可能な借り入れ制度です。

■敷地売却の流れ

区分所有者集会における4/5以上の賛成でマンションとその敷地を売却できます。

メリット
売却後の選択は自由

留意点
居住の安定に配慮が必要